自社商品ページに他社広告を出させない|自社商品リタゲの設計
この記事でわかること
- Amazonの商品ページの広告枠に、なぜ他社の広告が表示されるのか(仕組みの理解)
- 自社商品ページの広告枠を自社の別商品で埋める「自社商品リタゲ」の考え方
- マニュアルターゲティングでASINを指定する設定の進め方
- 新商品・横展開商品への送客導線としての使い方
- 効果を見積もる際の考え方(数値は目安であり断定しません)
広告費をかけて集めたアクセスが、競合の商品ページへ流れていないか
自社の広告経由で商品ページに来たお客様が、そのままそのページの広告枠に表示された競合商品をクリックして離脱する。この構造に気づかないまま広告運用を続けているケースは少なくありません。
Amazonの商品詳細ページ下部には「関連商品のスポンサープロダクト」枠があり、ここは出品者が自由に確保できる場所ではなく、Amazonの広告オークションによって表示商品が決まります。つまり、自社が広告費をかけて商品ページへ誘導したセッションの一部を、何もしなければ競合に無償で明け渡している状態になります。
この記事では、この構造をふまえたうえで「自社商品ページの広告枠を自社の別商品で埋める」設計の考え方を整理します。
なぜ自社商品ページに他社の広告が出るのか
Amazon広告のスポンサープロダクトには、特定の商品ページを指定して広告を表示させる「商品ターゲティング」という配信方式があります。これは自社だけでなく、あらゆる出品者が利用できる仕組みです。つまり、競合が自社の売れ筋商品ページをターゲティングして広告を出すことも、規約上は普通に行われています。
| 関係者 | できること |
|---|---|
| 競合他社 | 自社の商品ページをターゲティングして広告を出す(規約の範囲内で誰でも可能) |
| 自社 | 何もしなければ、この広告枠の入札に参加していない状態になる |
| Amazon | 広告枠は出稿者間のオークションで決まる。「自社ページだから自社が優先される」仕様ではない |
ここで押さえておきたいのは、「競合に商品ページへ広告を出されること自体」は規約違反でも異常事態でもなく、Amazon広告の仕様上ふつうに起こる、という点です。対策すべきは「出られること」を止めることではなく、「自社側も同じ枠の入札に参加し、少しでも自社商品同士の送客に置き換える」ことです。
対策の考え方:自社商品×自社商品の総当たりターゲティング
基本の設計は単純です。自社の売れ筋商品ページに対して、自社の他の商品を商品ターゲティングで出稿します。これにより、その広告枠に表示される候補の一つを自社商品に置き換えられます(オークションのため必ず表示される保証はありません)。
- 商品Aのページ → 商品B・商品Cを商品ターゲティングで出稿
- 商品Bのページ → 商品A・商品Cを商品ターゲティングで出稿
- 商品Cのページ → 商品A・商品Bを商品ターゲティングで出稿
取扱商品数が多い場合、全商品同士を総当たりで設定するのは非効率になります。まずは次の優先順位で対象を絞り込むと運用負荷を抑えられます。
- 広告費・自然流入ともにアクセスが多い「売れ筋」商品ページを優先的に守る対象にする
- 売れ筋ページからの送客先は、まだ実績の少ない新商品・横展開商品を優先する(下記「送客設計」参照)
- 価格帯・カテゴリが近い商品同士を組み合わせる(購買検討の文脈が近いほどクリックされやすい傾向があるため)
マニュアルターゲティングでの設定手順
広告コンソールのキャンペーン作成画面で、ターゲティング方式を「オート」ではなく「マニュアル」の「商品ターゲティング」に設定し、ASINまたは商品カテゴリを個別に指定します。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. キャンペーン作成 | ターゲティング方式で「商品ターゲティング」を選択(オートターゲティングでは自社商品を狙い撃ちで指定できません) |
| 2. ターゲティング対象の追加 | 「個々の商品」から、送客したい自社ASINを検索して個別に追加する |
| 3. 入札額の設定 | 初期は控えめな入札から始め、表示回数・クリック率を見ながら調整する(具体的な推奨額は商品カテゴリ・競合状況によって変わるため断定しません) |
| 4. 除外設定の確認 | すでに他のキャンペーンで同じ組み合わせを出稿していないか確認し、重複入札を避ける |
設定自体は他の商品ターゲティング広告と同じ操作で完結します。特別な機能ではなく、「ターゲティング先に自社の商品ページを選ぶ」という運用上の工夫です。
指名キーワード分離との関係
この設計は、検索広告における「指名キーワード(ブランド名検索)を自社で確保しておく」という考え方と同じ発想の、商品ページ版にあたります。指名検索の場合は検索結果面、商品ページ広告枠の場合は閲覧中の別商品への導線という違いはありますが、「自社が本来得られるはずのセッションを競合に渡さない」という目的は共通しています。
指名キーワードを自社で確保しておく理由については、指名キーワード(ブランドKW)に広告を出す理由で詳しく整理しています。検索面と商品ページ面、両方の「自社セッションの防衛」をセットで検討すると、広告予算の漏れをより小さくできます。
送客設計:既存の売れ筋から新商品・横展開商品へ
自社商品リタゲのもう一つの使い方は「防御」だけでなく「送客」です。すでにアクセスの多い売れ筋商品ページを起点に、まだ実績の少ない新商品や横展開商品への導線として使えます。
- 新商品はまだ検索での自然流入・広告実績が少なく、単独でアクセスを集めにくい状態にあります
- 売れ筋商品ページは一定のセッション数が確保できているため、その一部を新商品へ振り向けることで、新商品側の初期の露出を作れます
- この送客は「新しい予算を追加する」のではなく「すでに広告費をかけて集めたセッションの使い道を広げる」発想である点が、通常の新規獲得広告と異なります
横展開商品(同一ブランドのカラー違い・サイズ違い・関連カテゴリ商品など)の場合、購買検討の文脈が近いため、無関係な商品を出稿するよりもクリックされやすい傾向があります(確度B・商品カテゴリや価格帯の近さによって差が出ます)。
効果の見積もり方
自社商品リタゲによって「セッションの何%を自社内で回収できるか」は、商品カテゴリ・競合の出稿状況・自社の入札額によって変動するため、一律の数値では示せません。判断の目安としては、次の考え方で十分です。
- この施策は新規の広告予算を大きく積み増すものではなく、「本来漏れていたセッションの一部を自社で回収する」性質の施策です
- 回収できるセッションの割合はわずかであっても、新商品側から見れば「ゼロから始めるより早く露出が作れる」という意味で新規導線として機能します
- 効果測定は、送客先の新商品ページの表示回数・セッション数の推移を、施策開始前後で比較することで確認できます
よくある質問
Q. 自社商品ページに競合の広告が出ているのは規約違反ではないですか?
規約違反ではありません。商品ターゲティングはあらゆる出品者が利用できる配信方式であり、自社の商品ページをターゲティングされること自体はAmazon広告の仕様上ふつうに起こります。対策は「出させない」ことではなく、自社側も同じ枠に入札して自社商品への置き換えを増やすことです。
Q. 取扱商品が少ない場合でも効果がありますか?
商品数が2〜3点程度でも、売れ筋商品から新商品への導線として設定する価値はあります。総当たりで組む必要はなく、「売れ筋→新商品」の一方向だけでも初期の効果は見込めます。
Q. オートターゲティングでは代用できませんか?
オートターゲティングは対象商品を個別に指定できないため、自社の狙った商品ページへピンポイントで出稿することができません。この施策にはマニュアルの商品ターゲティングが必要です。
Q. 入札額はどのくらいに設定すればよいですか?
商品カテゴリや競合の入札状況によって適正額は変わるため、具体的な金額は断定できません。控えめな入札から始め、表示回数とクリック率を見ながら段階的に調整する進め方が安全です。
まとめ
- 自社商品ページの広告枠には、競合が商品ターゲティングで出稿できる。これはAmazon広告の仕様であり規約違反ではない
- 対策は「出させない」ことではなく、自社も同じ枠に入札し、自社商品同士の送客に置き換えること
- 設定はマニュアルターゲティングの「商品ターゲティング」でASINを個別指定して行う
- 売れ筋商品ページを起点に、新商品・横展開商品への送客導線としても活用できる
- 回収できるセッションの割合はわずかでも、新商品にとってはゼロから始めるより早い露出につながる
- 効果測定は送客先ページの表示回数・セッション数の施策前後比較で確認する
Amazon広告の運用でお悩みの方へ
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