自社出荷vsFBA|北海道の事業者がAmazonで利益を残すための配送戦略を徹底シミュレーション
「Amazonで商品を売りたいが、北海道からの送料が高すぎて利益が出ない」
「FBA(Amazon倉庫)に入れるべきか、自社から発送すべきか、計算が複雑でわからない」
北海道のEC事業者様から、このようなご相談を毎日のようにいただきます。津軽海峡を越える物流コストは、道内企業にとって永遠の課題であり、ここを攻略できるかどうかがAmazon販売の成否を分けると言っても過言ではありません。
多くの事業者が「とりあえず手数料を節約したいから」という理由で自社出荷を選びますが、実はそれが「売上機会の損失」と「見えない作業コスト」を生み出し、結果として大赤字になるケースが後を絶ちません。
この記事では、D2Cブランドの売却経験を持ち、北海道企業のAmazon運用を数多く支援してきた株式会社Entechが、「自社出荷」と「FBA」それぞれのコスト構造をシミュレーションし、北海道の企業が利益を最大化するための配送戦略を徹底解説します。
そもそもFBAとは?北海道企業にとってのメリットとデメリット
Amazon販売において、配送方法は大きく分けて2つあります。自社の倉庫から発送する「自社出荷(出品者出荷)」と、Amazonの倉庫に商品を預けて配送を代行してもらう「FBA(フルフィルメント by Amazon)」です。
結論から申し上げますと、本気で売上を伸ばしたいなら、北海道の企業であっても基本的には「FBA」一択です。
なぜなら、FBAを利用することで商品に「Prime(プライム)マーク」が付与され、検索順位(SEO)が優遇されるうえ、ショッピングカートボックス(「カートに入れる」ボタン)の獲得率が劇的に向上するからです。
北海道企業が直面するFBAの「壁」
ただし、北海道企業には特有のデメリットがあります。それは「Amazon倉庫(FC)までの納品送料」です。
Amazonの倉庫は主に関東や関西に集中しています。商品をFBA倉庫に送るための送料(札幌→東京など)が、本州の企業に比べて割高になるため、ここを計算に入れずにFBAを利用すると「売れても利益が残らない」という事態に陥ります。
【シミュレーション】北海道から送るならどっちが得?損益分岐点の見極め方
では、具体的にどちらがお得なのでしょうか。
ここで重要なのは、単なる送料の比較だけでなく、「FBA利用による売上アップ効果」を含めて計算することです。
1. 送料コストだけで比較した場合
例えば、60サイズの商品を関東のお客様へ届けるケースを考えます。
- 自社出荷(札幌→関東): 契約運賃にもよりますが、約1,000円〜1,200円。
- FBA利用:
- FBA配送代行手数料:約434円(標準サイズ区分2)。
- 納品送料(札幌→FBA倉庫):まとめて送れば1個あたり約100円〜200円に圧縮可能。
- 合計コスト:約534円〜634円。
このように、商品をある程度まとめてFBA倉庫に送る(納品する)ことができれば、1個あたりの配送コストはFBAの方が圧倒的に安くなるケースが大半です。北海道からの個口配送は非常に高額ですが、大口配送(納品)でコストを分散させるのが鉄則です。
2. 「売れる確率」を加味した場合
FBAを利用すると、プライム会員への「翌日配送」が可能になります。
お客様は同じ商品なら「明日届く方」を選びます。データ上、FBAを利用するだけで転換率(CVR)が2倍以上になることも珍しくありません。
「自社出荷の方が手数料がかからない」と思われがちですが、**「売れる数が半分になるリスク」と「自社で梱包・発送する人件費」**を考えれば、FBAを利用して回転率を上げる方が、最終的な利益額は大きくなります。
送料負けしないための「納品」テクニックとパートナーキャリア
北海道の企業がFBAを利用する際、最大の敵となる「納品送料」を極限まで下げるテクニックをご紹介します。
「Amazonパートナーキャリア」の活用
ヤマト運輸などを利用した「Amazonパートナーキャリア」という割引サービスを活用しましょう。
これはAmazonと配送業者が提携しているサービスで、通常よりも割安な運賃でFBA倉庫へ納品できます。ただし、割引率は時期やキャンペーンによって変動するため、常に最新情報をセラーセントラルで確認する必要があります。
「大型箱」で空気を運ばない工夫
納品時の1箱あたりの送料が1,500円だとして、中に商品が10個しか入っていなければ、1個あたりのコストは150円です。しかし、隙間なく詰めて50個入れれば、コストは30円まで下がります。
「可能な限り大きな箱(160サイズなど)に、ギチギチに詰めて送る」。この泥臭い工夫こそが、北海道の物流ハンデを埋める唯一の方法です。
安易な「自社出荷」設定が招くアカウント停止リスク
最後に、プロとして注意喚起をさせていただきます。
「うちはメール便で安く送れるから自社出荷でいい」と安易に判断するのは危険です。特に北海道の冬場は、アカウント停止(垢バン)のリスクと隣り合わせだからです。
雪による配送遅延とペナルティ
Amazonは「出荷遅延率」や「お届け予定日の遵守率」に非常に厳しいプラットフォームです。
自社出荷の場合、北海道で大雪が降り、集荷や輸送がストップしてお客様への到着が遅れると、パフォーマンス指標が悪化し、最悪の場合は出品権限の一時停止などのペナルティを受けます。
一方、FBAに預けていれば、仮に配送が遅れてもそれは「Amazonの責任」となり、セラーの評価には傷がつきません。
「物流品質をAmazonに守ってもらう」という意味でも、リスクヘッジとしてFBAの利用を強く推奨します。
まとめ:Amazon配送戦略は「コスト」ではなく「投資」である
北海道の事業者がAmazonで利益を残すためのポイントをまとめます。
- 基本はFBA: 売上アップ効果と配送品質の安定性を考えれば、FBAが正解。
- 納品コストの分散: 自社出荷で1個ずつ送るより、まとめてFBA倉庫へ送る方がトータルコストは安い。
- リスク管理: 冬場の配送遅延によるアカウント停止リスクをFBAで回避する。
「配送料が高いからAmazonは儲からない」と諦める前に、その配送戦略が最適化されているかを見直してみてください。計算式を変えるだけで、赤字商品が黒字商品に変わることは多々あります。
「自社商品のサイズだと、FBA手数料はいくらになるのか?」
「今の契約運賃と比べて、本当にFBAが得なのかシミュレーションしてほしい」
そのようにお悩みの方は、ぜひ株式会社Entechの「無料Amazonアカウント診断」をご活用ください。
私たちは、北海道ならではの物流事情を熟知したプロとして、貴社の商品サイズと販売計画に合わせた、もっとも利益が残るロジスティクス戦略をご提案いたします。
