【事例公開】北海道のスイーツが台湾でヒットした理由は「KOL(インフルエンサー)」だった?
「北海道産のスイーツなら、美味しいし品質もいいから、出せば売れるだろう」
台湾進出を検討される北海道の食品メーカー様の多くが、最初にこう考えます。確かに、台湾における「北海道」のブランド力は絶大です。しかし、実際にShopeeなどのECモールに出店してみると、「アクセスはあるのに買われない」「広告費ばかりが嵩んでいく」という壁にぶつかるケースが後を絶ちません。
なぜ、品質には自信があるのに売れないのか?
その答えは、台湾特有の消費文化である「KOL(Key Opinion Leader)」の存在を無視していることにあります。
この記事では、ある道内のスイーツメーカー様が、広告依存の赤字状態から、KOL(インフルエンサー)活用に切り替えたことで売上を3倍に伸ばした実例を公開します。なぜ台湾ではインフルエンサーが必須なのか、その裏側にあるロジックを解説します。
台湾市場で「KOL」が絶対に必要な理由
結論から申し上げますと、台湾の消費者は「企業の広告」よりも「信頼する人の推薦」を圧倒的に重視するからです。
日本以上にSNS(特にFacebook、Instagram)の利用率が高い台湾では、買い物をする前に「KOLのレビュー」や「SNSの口コミ」を検索するのが当たり前の行動様式になっています。
「北海道産」だけでは、味の想像がつかない
私たち北海道民にとって「道産牛乳のコク」や「夕張メロンの香り」は馴染み深いものですが、台湾の消費者にとっては、写真だけでは「どんな味か」「どれくらい甘いのか」がリアルに想像できません。
そこで必要になるのが、「味の翻訳者」としてのKOLです。
「このチーズケーキは、日本のコンビニスイーツよりも濃厚だけど、後味はスッキリしている!」「冷蔵庫から出して10分後が一番美味しい」
信頼できるKOLが、現地の言葉と感覚で「シズル感」を伝えることで初めて、消費者は「食べてみたい(買ってみよう)」という決断に至ります。
【事例】広告費の浪費を止めた、A社の逆転劇
私が支援に入らせていただいた、札幌近郊の洋菓子メーカーA社様の事例をご紹介します。
【課題】
- 商品:賞味期限が長めの焼き菓子とチーズケーキ
- 状況:Shopee台湾に出店し、Web広告(Facebook広告)を月30万円運用。
- 結果:クリックはされるが購入されず、CPA(顧客獲得単価)が5,000円を超えて赤字。
【Entechの分析】
商品ページへのアクセスはあるものの、転換率(CVR)が極端に低い状態でした。原因は「レビューが少なく、本当に美味しいか怪しまれていること」でした。
【実施した施策】
私たちは広告予算を半分に削り、その分を「マイクロインフルエンサー(KOL)」の起用に回しました。
有名芸能人(メガインフルエンサー)ではなく、フォロワー数1万〜5万人前後の、「エンゲージメント率(ファンとの親密度)が高いグルメ系KOL」**を20名リストアップし、商品をギフティングしました。
【結果】
- 認知の拡大: 2週間で20件以上の「実食レビュー投稿」がInstagram上に溢れました。
- 指名検索の増加: Shopee内でブランド名で検索するユーザーが急増。
- CPAの改善: 最終的にCPAは1,500円まで低下し、売上は前月比3倍を記録しました。
A社様の商品は何も変わっていません。変えたのは「伝え手」だけです。これが台湾市場におけるKOLの威力です。
失敗しないKOL戦略:「フォロワー数」で選ぶと大火傷する
「じゃあ、フォロワーが多い人に頼めばいいんですね?」
そう思われた方は要注意です。これこそが、多くの企業が陥る失敗パターンです。
見るべきは「誰に」届いているか
ただ美男美女が商品を手に持っているだけの投稿では、商品は売れません。私たちは以下の基準でKOLを選定しています。
- フォロワーの属性: 台湾在住か?(日本人のフォロワーが多くても意味がない)
- 投稿内容: 普段から「食べ物」の投稿をしているか?(ファッション系KOLが急にお菓子を紹介しても響かない)
- コメント欄の熱量: ファンからの質問に丁寧に返信しているか?
Entechでは、提携プラットフォーム「Cast Me!」を活用し、これらのデータを分析した上で、貴社の商品と相性抜群のインフルエンサーをマッチングさせます。
「数」ではなく「質と熱量」で選ぶことが、限られた予算で成果を出す鉄則です。
最強の勝ちパターン:KOL投稿の「二次利用」で広告効果を倍増させる
ここからが、プロのマーケターとしての本当のノウハウです。
KOL施策は「投稿してもらって終わり」ではありません。その投稿画像(UGC)を広告クリエイティブとして「二次利用」することで、さらなる売上を作ります。
綺麗なプロ写真 vs スマホで撮ったUGC
実は、プロのカメラマンがスタジオで撮った綺麗な商品写真よりも、KOLがスマホで撮影した「生活感のある写真」の方が、広告のクリック率(CTR)が高いというデータがあります。
- KOLに商品を投稿してもらう。
- その中から特に反応が良かった写真(UGC)の使用許諾を得る。
- その写真を、Shopee広告やInstagram広告のバナーとして配信する。
この「KOL × 広告」のハイブリッド戦略こそが、A社様がCPAを劇的に下げた勝因です。
「みんなが食べている人気商品」という社会的証明(Social Proof)を広告に乗せることで、初めて見るユーザーの警戒心を解くことができるのです。
まとめ:北海道ブランドに「声」を乗せよう
北海道のスイーツが台湾で売れるための条件をまとめます。
- 翻訳だけでは不十分: 味を伝える「KOL」という翻訳者が必要。
- マイクロKOLの活用: フォロワー数より「熱量」と「ジャンル」で選ぶ。
- 二次利用(UGC): 投稿画像を広告に活用し、信頼感をブーストさせる。
「うちのような小さなメーカーでも、インフルエンサーなんて使えるの?」
そう思われるかもしれませんが、ご安心ください。むしろ、予算が限られている中小企業こそ、大手がやらない「マイクロKOL戦略」で一点突破するチャンスがあります。
株式会社Entechでは、台湾越境ECの立ち上げから、最適なKOLの選定(Cast Me!活用)、そして広告運用までを一気通貫でご支援しています。
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北海道から世界へ、貴社のファンを一緒に作っていきましょう。
