Amazonスポンサープロダクト広告の正解|札幌のECコンサルが教えるROAS(費用対効果)改善術
「Amazon広告を始めたものの、売上よりも広告費の請求額に目がいってしまう」
「ROAS(広告費用対効果)が悪化しているが、どこをどう調整すればいいのか分からない」
札幌市内のEC事業者様から、このような悲鳴にも似たご相談を毎日のようにいただきます。
Amazon販売において、スポンサープロダクト広告(SP広告)は「売上の起爆剤」となる最強のツールです。しかし、正しい設定と運用サイクルを知らなければ、それは「利益を食いつぶすただの浪費」に変わってしまいます。
多くのセラーが陥るのが、「とりあえずオート(自動設定)で回しておけばAIがいい感じにしてくれるだろう」という思考停止です。断言しますが、それだけではROASを改善することは不可能です。
この記事では、D2Cブランドの売却経験を持ち、北海道企業のAmazon支援を行う株式会社Entechが実践している、「データを武器に、確実にROASを改善するための具体的な手順」を解説します。
なぜ、あなたのAmazon広告は「垂れ流し」になるのか?
結論、AmazonのAI任せにする「オートターゲティング」の放置が、ROAS悪化の最大の原因です。
Amazonの広告システムは非常に優秀ですが、そのAIの目的は「あなたの利益を最大化すること」ではなく、極論を言えば「Amazon内の広告在庫を消化し、売上を上げること」に寄りがちです。
そのため、放置していると「売れもしないキーワード」や「関連性の薄い商品ページ」にまで広告が表示され、無駄なクリック(広告費)が発生し続けます。
具体例:除外設定をしていない「ザル運用」
例えば、「北海道産 高級 ギフト」というキーワードで売りたい商品があるとします。オートターゲティングのまま放置すると、「北海道 旅行」や「北海道 地図」といった、「北海道には興味があるが、ギフトを買う気はない人」の検索結果にも広告が出てしまうことがあります。
これでは、いくらクリックされても購入には至りません(CVRが低い)。
ROASを改善するためには、AIに任せる「攻め」だけでなく、無駄を削ぎ落とす「守り(除外設定)」を徹底する必要があります。
Entech流・ROASを劇的に改善する「3ステップ戦略」
結論、広告運用は「オートで発見し、マニュアルで刈り取る」というサイクルを回すことが唯一の正解です。
私たちは以下の3ステップで、クライアント様のROASを平均300%以上改善させています。
Step1:オートターゲティングで「お宝キーワード」を発掘する
まずは「オートターゲティング」で広告を回します。これはAIが関連性の高い検索用語を自動で見つけてくれる機能です。ここでの目的は売上を作ることではなく、「顧客が実際にどんな言葉で検索して商品にたどり着いたか」というデータ(検索クエリ)を集めることです。
Step2:検索用語レポートを分析し「除外」と「昇格」を行う
1〜2週間ほど回したら、セラーセントラルから「検索用語レポート」をダウンロードします。ここが運命の分かれ道です。
- 除外(守り): クリックされているのに売れていない(CVRが低い)キーワードを特定し、「除外キーワード」に設定します。これだけで無駄な出費が止まります。
- 昇格(攻め): 実際に売上が発生した「稼げるキーワード(お宝キーワード)」をピックアップします。
Step3:マニュアルターゲティングで「入札単価」を最適化する
Step2で見つけた「稼げるキーワード」を、今度は「マニュアルターゲティング」というキャンペーンに登録します。
そして、このキーワードに対してだけ予算と入札単価(Bid)を集中投下します。
「オートは広く浅く探すための調査費」「マニュアルは確実に売上を作るための投資」。この役割分担を明確にすることで、ROASは必然的に向上します。
意外な落とし穴!「入札戦略」の設定ミス
結論、デフォルト設定の「動的な入札 – アップとダウン」を安易に使ってはいけません。
Amazon広告のキャンペーン設定には、入札戦略を選ぶ項目があります。多くの人が意味を理解せずに「アップとダウン」を選んでいますが、これは非常に危険です。
理由:クリック単価(CPC)が勝手に高騰するから
「アップとダウン」は、Amazonが「コンバージョンの可能性が高い」と判断した場合、あなたが設定した入札額を最大100%(2倍)まで勝手に引き上げる設定です。
100円で入札していたつもりが、気づけば1クリック200円取られている、という事態が起こります。
Entech推奨の「ダウンのみ」戦略
基本的には「動的な入札 – ダウンのみ」を選択してください。これは、売れる可能性が低い時に「入札額を下げる」ことしかしないため、予算オーバーのリスクがありません。
「アップとダウン」を使うのは、新商品発売時やプライムデーなど、「赤字覚悟で一気に露出を増やしたい時」だけの奥の手だと心得てください。
広告運用の前に「商品ページ(カタログ)」を見直せ
結論、転換率(CVR)が低い商品ページに広告をかけるのは、穴の空いたバケツに水を注ぐのと同じです。
どれだけROAS改善のテクニックを駆使しても、商品ページ(画像や説明文)が魅力的でなければ、クリックされた後に購入されません。
広告はあくまで「お客様を連れてくるバス」であり、商品を売るのは「お店(商品ページ)」の仕事です。
改善のチェックリスト
もし、現在のCVR(ユニットセッション率)がカテゴリ平均(通常3〜10%程度)より低い場合は、広告調整よりも先に以下を見直してください。
- メイン画像: スマホで見て一瞬で商品内容が伝わるか?(文字が小さすぎないか)
- サブ画像: 北海道ブランドとしての「シズル感」や「ベネフィット」が描かれているか?
- レビュー: ★3.5以下になっていないか?(悪いレビューは致命的です)
まずは商品ページの基礎体力を上げてから広告を踏む。これがROAS改善の最短ルートです。
【注意喚起】安易な「AI自動ツール」や「格安代行」には要注意
最後に、Amazon運用のプロとして警鐘を鳴らします。
最近、「AIが全自動で広告運用します」「月額数千円でROAS改善」といったツールやサービスが増えていますが、安易な導入は避けるべきです。
思考停止が招く「アカウントの弱体化」
Amazonのアルゴリズムは常に変化しています。また、商品の粗利益率や、販売フェーズ(新商品なのかロングセラーなのか)によって、取るべき戦略は異なります。
それらを無視して機械的に入札単価を下げるだけのツールを使うと、「ROASは良くなったが、売上規模が縮小して市場シェアを奪われた」という本末転倒な結果になりかねません。
広告運用は、経営戦略そのものです。「なぜこのキーワードにかけるのか?」という意図を持った運用をしなければ、長期的な資産(ブランド力)は育ちません。
まとめ:ROAS改善は「データ」との対話である
Amazonスポンサープロダクト広告でROASを改善するポイントをまとめます。
- オート放置はNG: オートで探し、マニュアルで刈り取るサイクルを回す。
- 除外設定: 無駄なクエリを定期的にメンテナンスする。
- 入札戦略: 基本は「ダウンのみ」でCPC高騰を防ぐ。
- カタログ優先: 広告の前に、商品ページ(CVR)を磨き上げる。
「広告費をかけているのに売れない」のではなく、「正しいかけ方をしていない」だけかもしれません。
株式会社Entechでは、単なるツールの導入ではなく、「貴社の商品利益率に基づいた適正CPA(獲得単価)の算出」から「売れるキーワードの発掘」まで、泥臭く実直な運用支援を行っています。
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