北海道の送料問題をどう解決する?台湾越境ECにおける物流・配送コスト削減の最適解

「商品には自信があるが、台湾までの送料を計算すると赤字になってしまう」
「北海道から送ると、東京の業者に比べてどうしても不利になる」

北海道のメーカー様からご相談いただく際、9割以上の方がこの「物流コストの壁」に悩まれています。
津軽海峡を挟む私たち北海道の企業にとって、本州への輸送コスト(国内送料)はただでさえ重荷です。ましてや海を越える台湾越境ECとなれば、その負担はさらに増します。

しかし、諦める必要はありません。実は、物流コストは「配送業者選び」だけで決まるものではなく、「商品設計」と「発送オペレーション」の工夫で劇的に削減可能だからです。

この記事では、D2Cブランド売却経験を持ち、北海道企業の越境支援を行う私たちが実践している、「北海道から台湾へ、利益を残して商品を届けるための物流最適化術」を解説します。

北海道の事業者が陥る「二重送料」の罠とは?

まず、なぜ北海道からの越境ECはコストが高くなるのでしょうか。
もっとも一般的な失敗パターンは、「二重送料」の構造を理解せずにスタートしてしまうことです。

Shopeeなどのモールを利用する場合、基本的には「日本の指定倉庫(東京や大阪など)」に商品を送り、そこから台湾へ空輸される仕組み(SLSなど)を使います。つまり、以下の2つの送料が発生します。

  1. 国内送料: 札幌(自社)→ 東京(指定倉庫)
  2. 国際送料: 東京(指定倉庫)→ 台湾(お客様)

東京の企業であれば「1. 国内送料」は安価、もしくは持ち込みでゼロにできますが、北海道からはここだけで1,000円近くかかることもあります。このハンデを埋めるには、「1. 国内送料」を極限まで薄める工夫が不可欠です。

解決策①:同梱発送(まとめ送り)で国内送料を分散させる

結論、1件ごとの発送をやめ、一定期間の注文を「大きな箱」にまとめて国内倉庫へ送るオペレーションを組むべきです。

Shopeeの公式配送(SLS)などでは、複数の注文分の商品を、1つの段ボールにまとめて国内倉庫へ発送することが認められています。

具体的なコスト削減シミュレーション

例えば、札幌から東京へ商品を送る場合を考えてみましょう。

  • A社(都度発送):
    注文が入るたびに「60サイズ」で発送。
    国内送料 1,000円 × 10件 = 10,000円
  • B社(まとめ発送):
    週に2回、10件分を「100サイズ」の段ボール1箱にまとめて発送。
    国内送料 1,800円 × 1箱 = 1,800円

この工夫だけで、1件あたりの国内送料コストは「1,000円」から「180円」に激減します。
私たちは、発送リードタイム(出荷までの日数)を「2〜3日」と少し長めに設定し、「火曜日と金曜日にまとめて出荷する」といったルール作りを推奨しています。これだけで、北海道のハンデはほぼ解消できます。

解決策②:商品パッケージを「ポスト投函サイズ」にリサイズする

物流コストを下げる最強の方法は、配送業者を変えることではなく、商品の「厚み」を変えることです。

国際送料(および国内のメール便送料)は、「厚み」と「重量」で決まります。特に「厚み3cmの壁」は非常に重要です。

実際にあった改善事例

ある北海道の健康食品メーカー様は、商品を高級感のある「瓶(ビン)」に入れて販売しようとしていました。しかし、瓶は重くて割れやすく、梱包材も分厚くなるため、送料が高騰していました。

そこで私たちは、以下のようなリニューアルを提案しました。

  • 容器: 瓶から「アルミパウチ(袋)」へ変更
  • 外装: 厚み2.5cm以内の「薄型化粧箱」へ変更

これにより、国内配送に「クリックポスト」や「ゆうパケット」等の安価な配送手段が使えるようになり、国際送料も重量減で大幅ダウン。1個あたりの粗利が500円以上改善しました。

「売りたいパッケージ」ではなく「送るのに適したパッケージ」に作り変える。これが越境EC成功の鉄則です。

解決策③:セット販売で「客単価(Basket Size)」を上げる

送料の割合を下げるために、単品販売ではなく「セット販売」を基本戦略にします。

1,000円の商品を売るのに送料が1,000円かかると、お客様は「送料が高い」と感じて購入しません。しかし、5,000円のセット商品に対して送料1,000円なら、許容範囲内となります。

北海道ブランドならではの「松竹梅」戦略

  • 松(10,000円): 全種類詰め合わせギフト(送料無料に見せる価格設定)
  • 竹(5,000円): 人気トップ3セット(主力)
  • 梅(2,000円): お試しセット(送料は別途頂く)

このように単価を上げることで、送料が利益を圧迫する比率を下げます。特に台湾ユーザーは「まとめ買い」を好む傾向があるため、「2個買えば5%OFF」といったバンドル販売(抱き合わせ)の設定も非常に有効です。

解決策④:外部倉庫(フルフィルメント)の活用検討

ある程度の出荷量が見えてきたら、商品をあらかじめ東京や台湾現地の倉庫に預けてしまうのが正解です。

北海道から毎回出荷していると、どうしてもリードタイム(配送日数)が長くなり、大雪などの天候リスクも受けます。
月間出荷数が50件を超えてきた段階で、以下のような切り替えを検討します。

  1. 国内倉庫利用: 東京の物流倉庫に在庫を預け、注文が入ったらそこからSLS倉庫へ横持ち配送する。
  2. 現地倉庫利用: 台湾の倉庫に商品をまとめて輸出し、現地から配送する(※ここまでいくと本格的な貿易実務になります)。

Entechでは、初期段階(自社発送)から拡大期(倉庫委託)まで、フェーズに合わせた最適な物流パートナーの選定も支援しています。

まとめ:物流は「コスト」ではなく「戦略」である

北海道からの台湾越境ECにおける物流対策をまとめます。

  1. まとめ発送: 都度送らず、大箱で国内倉庫へ送るオペレーションを組む。
  2. パッケージ改良: 「厚み」と「重さ」を削ぎ落とし、送料ランクを下げる。
  3. 高単価セット: 送料比率を下げるための価格設計を行う。

「北海道だから送料が高い」と嘆く必要はありません。計算し尽くされた物流戦略があれば、十分に利益を出すことは可能です。

「自社商品のパッケージなら、送料はいくらかかるのか?」
「今の発送方法で損をしていないか?」

もし物流周りに不安がある場合は、ぜひ一度株式会社Entechの「無料越境EC診断」をご利用ください。
私たちは単なるコンサルティングだけでなく、「実際にいくら利益が残るのか」という収益シミュレーション
からサポートいたします。

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