札幌の中小企業が台湾進出で失敗する3つのパターンと、それを防ぐパートナー選び

札幌の中小企業にとって、台湾は「物理的な距離」も「心理的な距離」も最も近い海外市場です。
しかし、近いからといって「なんとなく」進出してしまい、半年も経たずに撤退を余儀なくされるケースを、私はこれまで数え切れないほど見てきました。

失敗する企業の多くは、商品力がないわけではありません。「戦う場所」と「戦い方」を間違えているだけなのです。

特に札幌の企業には、本州の企業とは異なる「物流のハンデ」や「独特の商慣習」があります。これらを理解せずに、東京の企業と同じ戦略で挑んでも勝てません。
この記事では、札幌の中小企業が台湾進出で陥りがちな3つの失敗パターンと、それを回避して確実に利益を出すためのパートナー選びの基準について、実務家の視点で解説します。

失敗パターン1:「北海道ブランド」への過信と、マーケティング不足

最も多い失敗は、「北海道産と書けば売れる」という思い込みです。

確かに台湾における北海道ブランドの信頼性は絶大です。しかし、Shopeeや現地のデパートに行けば、「北海道産」を謳う商品は山のように溢れています。中には、現地の企業が作った「北海道風」の商品すらあります。

「美味しい」だけでは、指名買いされない

実店舗の催事(物産展)であれば、試食をして「美味しい!」とその場で買ってもらえます。しかし、EC(ネット通販)では味見ができません。
画面越しに選んでもらうためには、「北海道産」であることに加えて、「なぜ札幌のその店でなければならないのか?」という強力な理由(ストーリー)が必要です。

  • 失敗例: 商品写真を並べ、翻訳しただけの説明文を掲載する。
  • 成功例: 「札幌の雪解け水で育った」「創業50年、地元民しか知らない」といったストーリーを、現地のインフルエンサー(KOL)を通じて発信する。

「商品を置けば売れる」時代は終わりました。「誰に、どう伝えるか」というPR戦略がない進出は、ただの陳列に過ぎません。


失敗パターン2:物流コスト(国内送料)の見落としによる利益圧迫


札幌の企業にとって致命傷になりやすいのが、「送料倒れ」です。

多くの越境EC支援サービスは、東京や大阪に物流拠点を持っています。
「台湾までの送料は安くなりますよ」という甘い言葉に乗せられて契約したものの、「札幌から東京の倉庫まで送る送料」が高すぎて、利益が残らないというケースが後を絶ちません。

津軽海峡のコストを計算に入れているか?

例えば、1,500円の商品を売るために、札幌→東京の送料が1,000円、東京→台湾の送料が800円かかっていたら、商売になりません。

失敗する企業は、この「国内移動コスト」のシミュレーションが甘い傾向にあります。
成功する企業は、商品開発の段階で「クリックポストで送れるサイズ」にしたり、まとめて倉庫に送るオペレーションを組んだりと、「札幌から出すこと」を前提とした緻密な原価計算を行っています。


失敗パターン3:いきなり「自社越境ECサイト」を作ってしまう

「補助金が出るから」といって、いきなり数百万円をかけて独自ドメインの越境ECサイト(Shopifyなど)を構築するのは、非常にリスクが高い選択です。

「無人島の立派な店」を作ってはいけない

自社サイトは、作ることよりも「集客すること」の方が10倍大変です。台湾での知名度がゼロの状態でサイトを作っても、誰も見にきません。結果、サイトの維持費と広告費だけが毎月垂れ流しになります。

正解は、まずは人が集まっている「モール(Shopeeなど)」や「クラウドファンディング」から始めることです。
そこである程度のファンや指名検索が増えてきてから、利益率の高い自社サイトへ誘導する。この「順序」を間違えると、資金がショートして終わります。

北海道・札幌の企業が選ぶべき「パートナー会社」の条件

では、これらの失敗を防ぐために、どのような支援会社(パートナー)を選ぶべきなのでしょうか。
「台湾に詳しい」だけでは不十分です。以下の3つの条件を満たす会社を選んでください。

1. 「札幌の物流事情」を理解し、解決策を持っているか

東京のコンサルタントは、北海道の送料問題を肌感覚で理解していません。「宅急便で送ればいい」と軽く言われてしまいがちです。
「札幌からどうやって安く国内倉庫へ運ぶか?」という泥臭い実務に対して、具体的な提案(まとめ配送や、メール便活用など)ができるパートナーを選んでください。

2. 「制作」ではなく「売上」にコミットしてくれるか

「サイトを作って納品して終わり」の会社は避けるべきです。
必要なのは、サイトが出来た後に「どうやって台湾のインフルエンサーを見つけるか」「広告の費用対効果をどう合わせるか」を一緒に考え、実行してくれる運用パートナーです。
担当者に
「自身で商品を売った経験(D2Cなど)があるか」を質問してみてください。実体験がない担当者のアドバイスは、教科書通りの空論になりがちです。

3. 「やめる勇気(撤退ライン)」を共有できるか

耳の痛い話ですが、商品によっては「台湾では売れない(勝てない)」ものもあります。
良いパートナーとは、お客様の要望であっても「それは利益が出ないのでやめた方がいい」と正直に止められる会社です。
**「テスト販売でこの数字が出なければ撤退・改善しましょう」**と、事前に撤退ラインを握り合える関係こそが、傷を広げずに挑戦を続けるための鍵となります。

まとめ:札幌から世界へ。地に足のついた進出を

札幌の中小企業が台湾進出で失敗しないためのポイントをまとめます。

  1. ブランド過信を捨てる: 「北海道産」+「ストーリーとPR」が必須。
  2. 物流を制する: 札幌からの国内送料を含めた厳密な利益計算を行う。
  3. スモールスタート: いきなりサイトを作らず、モール等で需要を検証する。

台湾は、正しい手順で挑めば、札幌の企業にとってこれ以上ない「ドル箱市場」になります。重要なのは、北海道のハンデを理解し、それを乗り越える戦略を持つことです。

株式会社Entechは、札幌を拠点に、自らもD2Cブランドを運営・売却してきた実績を持つ「実戦型」のEC支援会社です。
綺麗なサイトを作るだけでなく、「泥臭い物流改善」から「台湾KOLの手配」まで、売上を作るためのすべての工程をワンストップでサポートします。

「他社で失敗したが、もう一度挑戦したい」
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